ヤマト運輸の荷物の引き受け抑制の検討および時間帯指定の見直しで、宅配業界が突然、脚光を浴び始めました。
ネット通販での買い物はこれからも増えていくと想定されるのに、それを届けてくれる宅配員が不足しているという状況はわたしたちが考える以上に深刻な問題になっていきそうです。
この状況を打開するために対策は大手がさまざまなアイデアを出しているようですが、近い将来、実現しそうなのがドローン宅配便です。
ドローン宅配便というのは、その名の通り、ドローンに荷物を持たせて個人宅まで配達するサービスですが、アメリカのアマゾンやUPSでは実験が進んでいるようです。
日本でも2015年に安倍総理が「早ければ3年以内にドローンを使った荷物配送を可能とすることを目指す」と宣言していますし、実際、実験も進んでいるようです。
もし日本でドローンでの宅配が実現すれば、人手不足の解消に一役買いそうですが、そうなると我々のような軽貨物運送業者の仕事が減ってしまうのではないか?という不安がありますよね。
そこでドローンでの配達実験が一歩進んでいるアメリカを参考にドローン宅配便が実現する場合はどのような形になるのかを調べてみました。
ドローンで宅配を行うという言葉のイメージでは、巨大な倉庫から小荷物を持った数十機のドローンが一斉に飛び立っていくと思い描くと思いますが、実際は違うようです。
まず配達をする地域までトラックで荷物を運び、そこからドライバーがドローンに荷物を積み、タブレット端末を操作して配達を完了するという感じです。
ドライバーはドローンが配達が終わるまで待つ必要はなく、次の配達場所に向けて車を走らせていると配達が終わったドローンは、自動でトラックを追いかけてくるというシステムです。
その実験はアメリカの大手物流企業のUPSが動画を公開しています。
ただし、これは広大な土地のアメリカでのドローン宅配の考え方ですから、そのシステムをそのまま狭い日本でも導入するかは不明です。
ドローン宅配の基本的な考え方としては、倉庫から離れた地域まで空を飛んで行くのではなく、配達エリアの1~2kmほどの近距離までトラックで荷物を運び、そこからドローンで配達するというのが最も現実的なようです。
ドローンで運べるくらいの重さと大きさは決まっていますから、ドローンでは運べない重さや大きさの荷物はやはり人が配達する以外に方法が無いというのが現実です。
これからもネット通販の荷物は確実に増えていくと思われますから、小さくて軽い荷物はドローン、ドローンで運べない荷物は人の手でという形になっていくのではないでしょうか。
日本でドローン宅配が実用化されるまでには、まだ数年先あるいは十数年先になりそうですから、現時点で軽貨物運送業者の仕事が減るとは考えにくいと思っています。
逆に今からドローン宅配のシステムを研究すれば、軽貨物運送業とドローン宅配の融合ビジネスが展開できる可能性もあるのではないでしょうか。
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