軽貨物運送業の仕事をおおまかに言えば、軽トラックおよび軽1BOXなどの軽貨物車を使って荷物を運び、運賃をいただくのが仕事です。
しかし、運ぶ物や走る距離などによって、運賃はさまざまですので、請け負う仕事によって売り上げが変わってきます。
売り上げの多い少ないは、個人事業主にとっては、そのまま生活に反映されるわけですから、自分の生活に合った仕事を選びたいものです。
そのためには、まず軽貨物の仕事には、どのような内容のものがあるのかを知っておく必要があります。
そこで、ここでは軽貨物運送業のおおまかな仕事内容とそのメリット、デメリットなどをご紹介します。
個人宅配(宅配便)
軽貨物の仕事で最も一般に知られているのが、個人宅に小荷物を配達する宅配便でしょう。
宅配便の荷物は、大きさや形が決まっている場合が多く、最も小さいサイズで60サイズ、大きいサイズで160~170サイズ程度です。
サイズの測り方は、荷物の縦・横・高さの三辺の合計の「センチメートル」で表します。
60サイズは、三辺の合計が60cm以内で、わかりやすく言うと縦20cm+横20cm+高さ20cm=60cm以内ということになります。
お客様が支払う金額は、このサイズによって変わってきますが、我々の運賃は大きさに関係なく一律という場合がほとんどです。
運賃の計算は、1個あたりの単価×個数が基本ですが、配達地域が遠い場合などは、基本料金+距離で計算する場合もあります。
個人宅配の1個あたりの運賃は80~120円程度が相場になります。
宅配便のメリット
担当する地域が狭いので走行距離が少ない。
ガソリン代などの経費が少なくて済む。
宅配便のデメリット
配達先を特定しにくい。
個人宅は昼間は在宅していない場合も多い。
ちなみに宅配のことを“宅急便”と言う場合がありますが、この宅急便という言葉は、ヤマト運輸の宅配便の商標ですので、厳密に言えば、ヤマト運輸以外の宅配は宅急便という言葉は使えないということになります。
企業宅配(企業便)
企業宅配というのは、個人宅ではなく、会社や店舗などの企業に対して、荷物を配達することで、企業便と呼ばれることもあります。
企業便の場合、宅配便と違い、荷物の大きさや形がまちまちの場合が多いです。
運賃の計算は、宅配便とほぼ同じで、1個あたりの単価×個数が基本ですが、配達地域が遠い場合などは、基本料金+距離で計算する場合もあります。
企業宅配の1個あたりの運賃は、150~300円程度が相場になります。
企業便のメリット
個人宅と違い、看板などで配達先を特定しやすい。
会社や店舗の営業時間であれば、ほとんど配達完了する。
企業便のデメリット
大きい荷物などは、一度では積みきれないので、往復しなければいけない。
スポット便(チャーター便)
宅配と共に軽貨物の需要があるのが、急に配達しなくてはいけなくなった荷物を特急で配達するスポット便と呼ばれている仕事ですが「チャーター便」と呼ばれることもあります。
スポット便は、企業や個人から急いで配達して欲しい荷物を預かり、なるべく早くもしくは、決められた時間までに配達をするのが主な仕事です。
本来であれば、企業ならその企業の関係者や宅配業者、個人であれば宅配業者に依頼すべき荷物ですが、それでは時間が間に合わないという場合や遠すぎて行けないという時に代わりに配達するのが仕事ですから、運賃は最も高いです。
運賃の計算は、距離制の場合が多く、荷物の大きさや重さは関係無いことがほとんどです。
スポット便の運賃は、20km以内2000円前後から始まり、50kmまで、100kmまでと距離が遠くなるに連れて徐々に安くなり、100km以上は1km100円前後が相場です。
細かい計算方法は軽貨物業者や元請によって変わってきますので、一概には言えませんが、おおよその目安として1km100円を基準にしますと、300km走った場合は、300km×100円となり、確実に30000円以上の売り上げになります。
スポット便のメリット
距離制なので、荷物の量に関係ない運賃。
仕事が多ければ、かなり稼げる。
スポット便のデメリット
お客様の都合次第なので、売り上げが安定しない。
急ぎの荷物なので、休みも時間も関係なく仕事が入る。
そのため売り上げ、休日共に予定が立てられない。
ルート配送
軽貨物を長くやっている方に一番人気があるのが、ルート配送です。
ルート配送は、その名の通り、ルートに沿って配達する仕事で、毎日の配達先がほぼ固定ですので、一度覚えてしまえば、配達先を探す必要が無いのが魅力です。
また、荷物も同じ場合が多く、たまに物量が変わることがあります。
運賃の計算は、請負先の企業との契約内容によりますが、日給制や距離制の場合が多いです。
ルート配送のメリット
配達先が決まっているので、売り上げが安定している。
請負先と同じ稼動になるので、休日などの予定が組みやすい。
ルート配送のデメリット
売り上げが決まっているので、それ以上は稼げない。
その他の仕事
軽貨物の仕事をおおまかに分けると以上のようになりますが、他にもスポット的な細かい仕事もありますので、簡単に説明しておきます。
引っ越し
単身の引っ越しの仕事は春先に多くなります。
基本的には、軽トラックや軽1BOXに1回に積み切る分量ですが、家族単位の引っ越しで荷物が多い時などは、遠距離なら複数台で、近距離なら往復するという場合もあります。
運賃は基本的には、距離制の場合が多いのですが、業者からの依頼ではなく、個人から直接請け負った引っ越しですと、引っ越しが完了した時点で、料金がいただけるので、現金商売が好きな軽貨物業者は、引っ越しばかりやっている人もいます。
代行
代行というのは、請負先の企業で使っている2トン車や4トン車などのトラックで、指定された場所まで配達する仕事です。
自分の車で荷物を運ぶということはなく、依頼された企業に出向き、トラックに乗り換えて配達をします。
運賃は、時給制の場合が多いです。
ハンドキャリー
ハンドキャリーというのは、車を使っても間に合わないような急ぎの荷物を電車や新幹線を使って持っていくという仕事です。
自分の車で荷物を運ぶということはなく、荷物を受け取ったら、最寄の駅から電車や新幹線に乗り換えて、配達先まで行きます。
運賃は時給制の場合が多いです。
作業
引っ越しの手伝いや荷物の搬入、搬出などの作業のみの仕事もあります。
自分の車で荷物を運ぶということはなく、現地に行き、作業をして終了になります。
報酬は時給制の場合が多いです。
まとめ
管理人は、開業してから20年の間に軽貨物でできる仕事は、ほぼやってきました。
どの仕事でもメリット、デメリットはありますので、開業当初はいろんな仕事をやってみて、自分に合った仕事を見つけることが大切です。
仕事内容と収入のバランスが取れると軽貨物を長く続けていくことができると思います。
ちなみに、ここで挙げたメリット、デメリットはあくまでも、管理人の個人的な考えですので、全員が同じ意見になるわけではありませんことをご了承ください。